日本陶磁協会発行 陶説637号(4月号)
関西の陶芸展の中で紹介していただきました
仕事場を構える京都・山科勧修寺周辺で採取した草木の灰で釉薬を作り、作陶30年足取りを刻む竹村繁男。
自然の植物を灰にして独自の釉薬を作る作家といえば、洛北・岩倉木野の地で作陶を続ける恩師の木村盛伸が
有名だが、この作家は成形の上で独自の作風を模索する。
たとえば緑がかった杉の灰釉を施した水指の場合。上の方の口部分はロクロの成形丸いままだが、
下方底部分を六等分に変形している。底付きのロクロ成形を変形させるとするとむつかしい作業だろう。
実はロクロ成形の際、底になる部分を上にして変形させ、半乾きしたあと底をつけてひっくり返したのだという。
このほか、かわいい犬を思わす一輪挿しや白いちぢれ跡に覆われた変形の器、さらには石膏型の幾何学模様を
転写した大皿など、実用性を前提にしながら造形上一工夫忘れない。
(高島屋京都店六階美術画廊、2月22日〜28日)


著者 藤慶之